密度汎関数理論計算とイオン結晶モデル

ポスター (ICDD Spring Meeting 2023)

コランダム(α-Al2O3) の最強回折ピークは 104, 113, 116 反射のうちどれ?

私の測定結果では 113 反射が最強,116 反射が第2最強,104 が第3最強という結果になったのですが,ICDD-PDF データではこれと順位の食い違っているデータの方が多いのです。

擬ポテンシャル (pseudo-potential) を使った密度汎関数理論 (DFT) 計算 (Quantum Espresso) で求めた電子密度に分散補正と原子変位因子を付けて回折強度を計算した結果も 113, 116, 104 の順でしたが,強度の一致の度合いは局所密度近似 (LDA) では「まだまだ」という感じで,一般化勾配近似 (GGA) と呼ばれるうちの PBE で少しだけマシになった感じです。そもそも擬ポテンシャルを使っているのだから「当たり前」なのかもしれません。

PP-DFT 計算より,完全イオン化モデル (Al3+2O2-3) で計算した方が実測値と良く合うのだから,そういうことも「第一原理計算教信者の皆様」に知っておいてほしいですね。

-2 価の酸化物イオンが安定に存在できるのか?と言ってくる人もいるのですが「電気的に中性の空間の中では O2- は安定に存在できないけれど,イオン結晶の中の酸化物イオンは電気的に中性の空間にいるわけではないでしょ?」と答えます。もちろん完全にイオン化しているとは考えづらいけれど「完全イオン化モデル」が比較的良く合ったのが事実です。


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