web site of Takashi Ida (日本語版)
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アンブレラ効果
Rガク社の人が,(欧米では)過去に「垂直発散収差」,現在は「軸発散収差」と呼ばれるようになった効果のことを「アンブレラ効果」と呼び続けることが疑問だったけれど,この記事を読むと「あー。粉末回折装置の幾何学のことを良く知っていて,丁寧に説明をしようとしていますね」とも思った。 粉末X線回折法基礎講座(第2回) ただ解析幾何学(幾何学的な関係をベクトルや行列として数値的に表すこと)を使えば,軸発散収差の2次近似形式を導くことは特別に難しいことではないし,2次近似の方程式を解くのは,基本的には「中学校の数学」の知識でもできる。 現在は数値計算で解くようにしているのでもうあまり関係ないけれど。
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デスクトップ型粉末回折装置の調整
投稿者が主に用いていたX線回折装置は,装置製造会社からの納入時にも,マニュアルの通りにX線源の位置調整をしても,X線源とゴニオメータの回転軸,半導体ストリップ型検出器の中心位置が直線関係にならないとしか思えなかった。防X線壁内に LED 照明と USB カメラ (5 k 円程度の価格で市販される),試料位置に蛍光板,試料ホルダの中心位置を照らすように半導体レーザを設置してX線が蛍光板の中心位置を光らせるように手作業でX線源位置の調整をした。 画像 (1): 半導体レーザの設置と角度の調整。2 k 円程度の価格で市販される赤色半導体レーザ部品を,装置製造会社が特許出願中とする「散乱プロテクタ」に縛り付けて,「散乱プロテクタ」と検出器アームとの間にスペーサを斜めに挿入して半導体レーザが試料中心を照らすように角度の調整をした。 画像 (2): 蛍光板の設置。蛍光板は紙製で自重に耐えず垂れる変形をするので,裏にアルミ板を貼り付けて補強し,隙間ゲージを用いて平面性を確認した。 画像 (3): LED 照明を落として蛍光の撮影をした。 画像 (3) で緑色に光るのがX線に照射される部分であり,画像 (1) で赤く光る範囲の中心と概ね位置が一致していることは,画像ヴューワで画像データを読み込んで,表示画像を切り替えることで確認できる。 画像 (3) では緑色に光る範囲の左下に赤く光る部分があるように見える。また緑色に光る範囲は,本来なら長方形に見えるはずなのに平行四辺形のように見える。これらの違和感は,X線源の問題による可能性もあるが,装置製造会社がX線源を斜めに取り付けているか,入射ビーム側の光学部品を斜めに取り付けていることによる可能性もある。 X線源の位置調整は複数の JIS ネジを締めたり緩めたりして行う仕様になっている。 画像 (3) に示した蛍光の画像では,画像下方向には明るく,上方向に暗くなっているように見える。このことはガラス封入管型X線ビームのうち平面的な銅陽極から放射されるX線の中心ビームは離陸角 6º としても,離陸角の浅いビームの強度は弱くなり,離陸角の深いビームの強度が強くなることと関連する可能性がある。 画像(3)で緑色に光る範囲には縞状の強度分布がある。X線源のカソードとして用いられるタングステン・フィラメントはコイル型のものと想像されるが,水平方向へ巻かれていると想像され,そのこととは無関係と思われる。
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ミニフレさん
ミニフレさんが知らせてくれる XRD データは,エアリスさんやディーツーさんと比べて「ゆがんでいる」ので「どうしてそうなったの?」と聞きたくなったので,リガ社さんの「お客様相談窓口」的なところに書き込んでみました。
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ミニフレさんとエアリスさん,ディーツーさん
ブルカー社の D2フェイザで測定された Si 標準試料のデータを送ってもらい,逆畳込的処理を施してみました。昨年 12 月のアジア結晶学会議で出展しており,出展担当の人から「日本の営業所からコンタクトを取らせます」と言われたのですが,半年くらい経っても「何も連絡がこない」状態でした。当社の web サイトの「お客様相談窓口」的なインターフェスに書き込んでみたら反応がありました。 https://takashiida.sadist.jp/public/education/powder-xrd/20260516_adaptive_DCT.pdf
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適応型逆畳込的処理
ミニフレ (Rigaku MiniFlex) によって取得された XRD データに装置と試料のパラメータに基づいた逆畳込的処理を施しても低角領域では左右非対称な回折ピーク形状しか得られなかった。ミニフレは非対称なピーク形状の変形をもたらす特性を持つと仮定し,通常の逆畳込的処理の後に「ミニフレ補整」(MiniFlex shaping) を施し,合わせて適応型逆畳込的処理 (adaptive deconvolutional treatment; aDCT) と呼ぶこととする。 https://takashiida.sadist.jp/public/education/powder-xrd/20260421_MiniFlex_Shaper.pdf NIST SRM 640d Si と SRM 660c LaB6 について,ミニフレを用いて取得されたデータであっても,適応型逆畳込的処理を施すことで低角領域でも 左右対称なピーク形状の得られることが確認された。 SRM 640d Si の XRD データに aDCT 処理をした結果から 2Θ 角度補正曲線を求め,SRM 660c LaB6 の XRD データに aDCT 処理を施すと保証書記載位置から低角側にピーク位置がずれたが,基準とした Si 粉末試料が「粉を詰めすぎ」の状態だったからと推測される。
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ミニフレさんとエアリスさんについて
X線回折装置として市販されるリガク社の MiniFlex (ミニフレ)という機種も Malvern-Panalytical 社の Aeris (エアリス)という機種もコンパクトな設計でデスクトップ型X線回折装置とも呼ばれる。 リガ社さんのミニフレは一次元X線検出器をおさめるため鈑金加工で筐体を膨らませた「耳」のついてるデザインが可愛い。 https://takashiida.sadist.jp/public/education/powder-xrd/20260331Review_ida.pdf リガ社さんから特許出願中とされる「散乱プロテクタ」は,背景強度を低減するためには効果的と思われるけれど,検出器の半分を殺している感じにも見える。
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Bragg-Brentano 型回折装置の試料位置ずれの実測
(2026 年 3 月 10 日) Rigaku MiniFlex 600-C に小型の赤色レーザー光源と USB カメラを設置して,試料面の法線方向への位置ずれを実測することを試みました。 Bragg-Brentano 型粉末回折装置の試料位置ずれの実測
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密度汎関数理論計算とイオン結晶モデル
ポスター (ICDD Spring Meeting 2023) コランダム(α-Al2O3) の最強回折ピークは 104, 113, 116 反射のうちどれ? 私の測定結果では 113 反射が最強,116 反射が第2最強,104 が第3最強という結果になったのですが,ICDD-PDF データではこれと順位の食い違っているデータの方が多いのです。 擬ポテンシャル (pseudo-potential) を使った密度汎関数理論 (DFT) 計算 (Quantum Espresso) で求めた電子密度に分散補正と原子変位因子を付けて回折強度を計算した結果も 113, 116, 104 の順でしたが,強度の一致の度合いは局所密度近似 (LDA) では「まだまだ」という感じで,一般化勾配近似 (GGA) と呼ばれるうちの PBE で少しだけマシになった感じです。そもそも擬ポテンシャルを使っているのだから「当たり前」なのかもしれません。 PP-DFT 計算より,完全イオン化モデル (Al3+2O2-3) で計算した方が実測値と良く合うのだから,そういうことも「第一原理計算教信者の皆様」に知っておいてほしいですね。 -2 価の酸化物イオンが安定に存在できるのか?と言ってくる人もいるのですが「電気的に中性の空間の中では O2- は安定に存在できないけれど,イオン結晶の中の酸化物イオンは電気的に中性の空間にいるわけではないでしょ?」と答えます。もちろん完全にイオン化しているとは考えづらいけれど「完全イオン化モデル」が比較的良く合ったのが事実です。
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Igor Pro で TeX を使う
Igor Pro を使って描いたグラフ中の凡例や軸ラベルに TeX の表現を使うには,例えば\$WMTEX$x=G_{\rm M}^{-1}(y)$/WMTEX$のように入力すれば良い。 WMTEX は Wavemetrics 社版の TeX という意味なのでしょう。 Wavemetrics 社の Igor Pro は元は Macintosh 用に開発されたのですが,Apple 社のパソコンが ARM プロセッサに完全に移行したことで,maOS 版の Igor Pro の開発を継続することは経済的に不可能になったとのことですね。
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NumPy で直積を計算する
NumPy の numpy.outer() メソッドでは一次元配列の直積 (outer product)(結果は二次元配列=行列)を計算できますが,例えば二次元配列と一次元配列の直積(結果は三次元配列)を直接計算することができません。 いろいろな情報が出回っていますが,numpy.multiply.outer() メソッドを使うのが一番分かりやすいようです。このメソッドを使えば m 次元配列と n 次元配列の直積として m × n 次元配列が自然に得られます。 NumPy を使って多重の重みつき数値積分をするとき,直積を使って多次元配列にしてからブロードキャスト機能を使って各要素ごとの計算をし,「@」記号を使って内積計算をするのが分かりやすいと思います。